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シーン解析

 現在 

 回想 

A: アスミック盤DVDのチャプター
P: パラマウント盤DVDのチャプター
San Pedro, Callfornia - last night
(カリフォルニア州サンペドロ 昨夜)
1A:03
P:02
サンペドロ港・貨物船ソゼがキートンを撃つ
12:30船爆破、27人死亡
2A:04
P:03
サンペドロ検事局・取調室地方検事がヴァーバルを事情徴収
New York City - 6 weeks ago
(ニューヨーク 6週間前)
3A:05-07
P:04-05
ニューヨーク警察面通し5人逮捕、面通し
San Pedro, Callfornia - present day
(カリフォルニア州サンペドロ 現在)
4A:08-11
P:06-09
サンペドロ
警察
病院
調査開始
クイヤンがヴァーバルを尋問
ベアがコバッシュを尋問
5A:12-15
P:10-13
ニューヨーク警察前
街中
5人釈放
タクシーサービス襲撃
6A:16-18
P:14-16
サンペドロ警察・レイビンの部屋
病院
クイヤンがヴァーバルを尋問
ベアがコバッシュを尋問
ソゼの似顔絵作り開始
7A:19-21
P:17-18
ロサンゼルス韓国友好の鐘
ホテル地下
レッドフットとの取引
宝石屋襲撃
8A:22
P:19
サンペドロ警察・レイビンの部屋クイヤンがヴァーバルを尋問
9A:23
P:20-21
ロサンゼルスホテルソゼの指令コバヤシが5人にソゼの命令を伝える
10A:24
P:22
サンペドロ警察・レイビンの部屋クイヤンがヴァーバルを尋問
11A:24
P:22
トルコソゼの家ソゼ、ハンガリー人組織を壊滅させる
12A:24
P:23
サンペドロ警察・レイビンの部屋
病院
クイヤンがヴァーバルを尋問
ソゼの似顔絵作り
13A:25
P:23
ロサンゼルス海岸フェンスターの死体を発見する
14A:26
P:24
サンペドロ警察・レイビンの部屋クイヤンがヴァーバルを尋問
15A:27
P:24
ロサンゼルスコバヤシ事務所のビルコバヤシ殺害コバヤシ暗殺失敗
16A:28-29
P:25-26
サンペドロ貨物船を襲撃
ホックニー撃たれる
17A:30
P:27
サンペドロ警察・レイビンの部屋クイヤンがヴァーバルを尋問
18A:31-32
P:28-29
サンペドロ港・貨物船マルケス撃たれる
マクマナス刺される
キートン撃たれる
19A:33
P:29
サンペドロ警察・レイビンの部屋クイヤンがヴァーバルを尋問
20A:34
P:29
サンペドロ港・貨物船ソゼがキートンを撃つ
船爆破
21A:35
P:30
サンペドロ警察・レイビンの部屋クイヤンが「ソゼ=キートン」と確信する
ヴァーバルが「全てキートンの企み」と漏らす
22A:36-37
P:31
サンペドロ警察
警察の外
FAXヴァーバル保釈
クイヤン、コーヒーカップを落とす
病院からソゼの似顔絵FAX届く
ヴァーバル(ソゼ)、体の不自由を解き、車で消え去る
23A:37
P:31
サンペドロ警察・レイビンの部屋そして、フッ、消えた....ヴァーバルのセリフ「そして、フッ、消えた....」

真実

『ユージュアル・サスペクツ』最大の謎は、交錯する現在のシーンとヴァーバルの回想シーンの中に散りばめられた「真実と嘘」である。シーン22でヴァーバルが話していた内容が、掲示板から引用したでっち上げだということがわかり、ソゼ=ヴァーバルという正体が明らかになる。しかし、本当にヴァーバルの回想した内容は真っ赤な嘘だったのであろうか?その答えを見つけるために、一つ一つシーンを解析してみよう。
1〜3 桟橋の死体 シーン1、3、4の直前には英語字幕が表示される。
「San Pedro, Callfornia - last night」
「New York City - 6 weeks ago」
「San Pedro, Callfornia - present day」

これは何も疑うことなく真実ととらえてよいだろう。これを信じなければ、この映画、何を信じればよいというのか? その証拠に、シーン4でレイビンがヴァーバルが検事に話した内容(シーン3)について「裏は取った」と言っている。 ちなみに、シーン1でソゼを演じているのはヴァーバル役のスペイシーである。またシーン3から4に移るときは、キートンのアップから、いきなり港にある焼け焦げた死体の絵に切り替わるが、実はこの死体はキートンなのである。
4 コーヒーカップの底いよいよレイビンの部屋において、クイヤンの尋問が始まるわけであるが、部屋に通された直後のヴァーバルは、早くも部屋の隅々を見回している(ネタを探っている)。そして掲示板から、第1の嘘「イリノイ州で歌のカルテットを組んでいた時、バリトンのデブ男がひどいストレス症で…」と、第2の嘘「グァテマラのコーヒー園で働いていて…」が飛び出す。また、次のヴァーバルの回想シーンに移る際に、クイヤン側からコーヒーを飲んでいるヴァーバルを見下ろした絵から切り替わるが、このときヴァーバルはしっかりとクイヤンのコーヒーカップの底を見つめている。底に書かれていた文字は、製造メーカーの名前「コバヤシ陶器」である。
5 タクシーサービス面通しの後、5人が釈放されてタクシーサービス襲撃事件を起こす。汚職警官が逮捕されるという話しが出て、裏も取ることが可能なことから、この事件自体は真実であろう。ただし、ロスの取引相手レッドフットの名前が出るが、これは掲示板から引用した嘘である。
6 ヴァーバルがなかなか証言しないのでクイヤンがヴァーバルの体を突くが、このときヴァーバルは左手でクイヤンの手を振り払う。咄嗟の事でクイヤンも全く気づいていないが、左半身が不随というヴァーバルにはあり得ない行為である。その後、渋々と港の事件を仕組んだのはコバヤシという弁護士だと漏らす。
7 レッドフットとの取引 レッドフットとの取引と、宝石屋襲撃事件のシーンであるが、この話しを真実だと証明できる要素は特にない。ちなみに、レッドフットとの取引現場は、「韓国友好の鐘(Korean Bell of Friendship)」という公園で、サンペドロの海を見下ろす小高い丘にある。
8 コバッシュの証言により、事件が起きた船にコカイン(麻薬)は積んでいなかったことが明らかになる。
9 コバヤシが、5人に9100万ドルのコカイン取引現場を襲撃するよう伝える。フェンスターが「カイザー・ソゼの名前を、昔の仲間の誰かから聞いた」という話になり、マクマナスが「ブリックス・マーリンか?」と尋ねる。この名前も掲示板からの引用であり、ブリックスレッドフットと同じ紙の欄に載っていて、マーリンはカジキ(英語でmarlin)を釣った写真からである。
11 トルコ時代ヴァーバルはシーン9でソゼの名を初めて聞いたはずなのに、このシーンではまるで自分が見てきたかのようにソゼのトルコ時代を語る。
13 夜の海岸でフェンスターの死体を発見するシーンであるが、この話しも真実だと証明できる要素は特にない。また、このシーンから次のシーン14に移る際にも、クイヤンのコーヒーカップが登場する。今回は、コーヒーカップを真上から回転しながら見下ろすという手法をとっていて、これは、いかにも「このコーヒーカップには何かある!」という伏線を大胆に表している。
15 コバヤシのボディーガードを2人殺害する。その後、コバヤシの事務所にて、イーディが外国犯引き渡し処理のためロスに来ているところを目撃する。このことはシーン17、21で真実であることが判明する。この外国犯というのが、アルトゥーロ・マルケスなのである。
18 マルケスが船室でソゼに撃たれる。マルケス自身がその顔を確認しているのだから、これは真実であろう。
18
20
21
ソゼがキートンを撃つ場面を、ヴァーバルがロープの積まれた物陰から見ているがシーン1を真実とするならば、これは嘘である。ただし、この部分の真偽が『ユージュアル・サスペクツ』の最大の争点であるともいえる。確かにヴァーバルが、第三者の目としてキートンが撃たれたところを見たというのは嘘であるが、クイヤンに向かって「確かに俺は、キートンが銃で撃たれるところを見たんだ!」と言ったことに、偽りはない。撃ったのは自分なんだから…。
22 運転手 ヴァーバルが警察署を出たところで体の不自由を解く。すなわち、ヴァーバルが身障者というのは嘘である。また、ヴァーバル(=ソゼ)を迎えにきた車の運転手は、ヴァーバルが語っていたコバヤシと同じ男であったが、名前も正体も定かではない。しかし、劇中一貫してピート・ポスルスウェイトが演じてきた男は、ソゼの片腕として働いてたというのは間違いない。